Album Surfのオーナーでありシェイパーを務めるマット・パーカー。名だたるサーファーに熱烈なオファーを受け、ハンドシェイプで仕上げた板はいわゆる工芸品のような、11本風合いの違う「作品」を創り上げるブランドです。アート性も高く、視覚的センスも高いMATTBANKS JOURNALがトークセッションを敢行しました。

Banks Journal: 生い立ちと出身地について教えていただけますか?
Matt: 私は80年代と90年代にオレンジカリフォルニアで育ち、大家族、多くの兄弟姉妹と育ちました。私の両親は私たちをあちこちに連れて行くのが大好きだったので、私たちは家族として一緒に旅行し、異なる場所や文化について学ぶことに多くの時間を費やしました。スケートやサーフィン、あらゆる種類のスポーツ、アート、できることは何でも挑戦しました。青春の大半はアウトドアで遊んで過ごしました。

 

Banks Journal: サーフボードのシェーパーになろうと思ったきっかけは?最初からブランドを立ち上げようとしていたのですか?それとも趣味や情熱の先にたどり着いたのですか?
Matt: そうですね。デザインの学校でアートや造形を学んでいたので、サーフボードを自分で作るということはとても自然な流れでした。まずは初歩的な道具を用いてフォームを削り、凸凹を直したりしながら試行錯誤しました。驚くことに、その歪なサーフボードで色々試しながら、綺麗にグラスで仕上げ、乗って、を繰り返す過程がサーフィンの中で一番楽しかったのです。この作業は私が初めて機能的な作品を制作した瞬間で、楽しみながら本当に深く追究が出来るもので、すごく勉強になりました。このニューポートでも見かけない、色々なアイディアが溢れて来て、それを夢中で制作しました。
10年ほど情熱の赴くままに趣味として制作を続けました。これがブランドに発展するとは想像すらしていなかったです。純粋な自己表現としての製作でした。それは今も変わっていません。ただ、今は他の人たちも知っているってだけですね(笑)
Banks Journal: 貴方のサーフボードからは芸術性やグラフィックの影響を感じます。どのアーティストがあなたにインスピレーションを与えたか、そして形や色とデザインでこだわっている所を教えて下さい。
Matt:そうですね、私の生い立ちは、Albumと製作するサーフボードボードへ大きな影響を与えています。私はそれぞれのボードを商品ではなく一本一本ワンオフな作品として扱うようにしています。そのため、スタイルや色、さらにはロゴスタイルや使用ボードにも多くのバリエーションが見られます。色やデザインは精神的にそのボードのパフォーマンスへ直結すると思います。何故だかデザインを気に入った一本だと、より一体感が高く、刺激的なライディングが出来る為です。
マーク・ロスコに感動した記憶があります。なぜなら、それは主に色と、最も単純な色表現から得られるコントラストと感情についてだったからです。同様の方法でサーフボードと樹脂の色合いと色の組み合わせで遊ぶことは、私に同じ感情をもたらすことができます。

Banks Journal:新しいボードを作るためにシェーピングベイに入るとき、使いたいアートやカラー、グラフィックはすでに決まっているのでしょうか?それとも、シェイピングのプロセスから、適用したいビジュアルが見えてくるのでしょうか?

Matt: 通常はありません。通常は、純粋にボードのデザイン、つまりシェイプとカーブだけを考えています。これは、私にとって常に最も重要なことです。完成したシェイプは、通常、別のことを考えるためのキャンバスとなります。事前にアイデアがある場合もありますが、通常は独自のプロセスとして扱います。でも、お客さんのためにカスタムボードを作るときは、色やデザインがあらかじめ決まっているので、ちょっと違います。だから、シェイプする前に頭の中に入っているんです。

Banks Journal:Album Surfは板が作られる成形のプロセスをできるだけ健全で環境に優しいものにしようと最善を尽くしているように見えます。この点で、あなたにとって何が重要なのか、また、サーフ業界全体に改善してほしい点があるとすれば、どのような点なのか、詳しく教えてください。

Matt:私たちの立場でできる最も持続可能なことは、自分たちが作るものを本当によく作ること、長持ちするように作ること、最高品質のものを作ること、人々が何年も使って、いつか他の人に渡して楽しんでもらえるようにすることだと考えています。私たちは意図的に小さくしており、今後もその状態を維持するつもりです。私たちは、無駄を省き、地域社会や一緒にボードを作っている地元のクルーに配慮することを心がけています。